経営にとって「値決め」は重要、その考え方とは?
「値決めは経営」
1999年9月16日に稲盛塾長が講話で話していた内容です。
値決めは経営の重要はファクターである。
例えば、相見積もりで天びんにかけられ、他社に負けていると言われたとする。
もしかしたら、それは駆け引きかも知れないのに、馬鹿正直に対応する営業がいる。
そういう値引き対応していては、会社が存続しない。
まずはその時に、自らお客様の所へ行くのが一番良いが、そう出来ない時には、営業にその場面を再現してもらい、その中から事実を導き出す。
「他社はいくらなのか?」
「本当に値段だけで決定するつもりなのか?」等の
情報を正確につかむのが経営者の仕事である。
もし営業が簡単に15%の値引きをしたとする。営業が値引きをするのは簡単である。
「値引きします」で済むからである。
しかし値引きされると、製造業では製造する工場が、
流通業では、仕入れそれを
それぞれ、コストダウンで補わなければならない。
15%のコストダウンするのは、容易ではない。血のにじむような創意工夫がないと出来ない。
営業は安ければ受注出来る。
値下げして受注するのは簡単。
受注するのが偉いのではない。
しかし高すぎても、他社に発注がいってしまう。
要諦は
※「お客様が喜ぶ一番高い値段を導き出す」。これが営業の一番の偉業である。
情報を集め、審議を尽くし、トップが値決めをする。
例えば、屋台のうどん屋。
うどんの原価はそんなに変わらない、100円位だと思う。それを200円で売るか500円で売るか。
それに、「どこで」「どんな時間帯で」というような要素を入れ、価格を決める。
例1)コカコーラの販売戦略
販売当時、コカコーラは、ラムネやサイダーの3倍の値段だった。
「こんな高いもの売れる訳が無い」と思っていた。しかし、これが大ヒット。
コカコーラは販売店に多くのマージンを渡していた。だから販売店はラムネを売らずコーラを売ったので、大ヒットとなった。
例2)ヤクルト
カルピスと味は大した変わらないのに、バカ高い値段であるにもかかわらずヒットした。
ヤクルトレディに充分なマージンを渡していたから、レディが一生懸命に売ってくれた。
昔は(原価+利益=原価)という「原価主義」という考え方であったが、
値段を先に決める=それからコスト削減するという考え方に変わった。
今は販売する物の価値で売る。創意工夫で製品を開発しコストが2円でも20円で売る。
そういうマーケットが認めてくれる価格を設定する。
流通業(仕入れて売る)は30%のマージンは必要である。(それは右から左に流すだけで30%かかるということ)。
製造業は設計して製造して、頭使って無を有に変えているのだから、50%はあってもよい。
しかし資本主義理論から、そうはならない。
例)
製品価格1,000円の物は、700円で卸しである。なので製造業は400円で作らなければならない。
もし出来なければ、製造原価削減のためVA(バリュアナリシス)で、ガラッと発想を変え、設計や製造工程そのものを変えて、製造原価を下げなければならない。(仕入れをたたくだけではダメ)
技術屋は、製造コストをどう下げられるかが仕事(大発明ではない)。
どう設計や工程を変えたらコストがさがるか考えられるかが、優秀な人材である。
それでもダメなら、扱いを辞めて、新製品を開発するか、扱い品目を変える。